2026/11/02(月)Museが読めなかった部分を他のAIで検証

Museが自前で解釈して判らず、私に質問してきた箇所を、他のAIがどう解釈するか調べた。

原文

先可申候、雁被差越候、御芳志之至と賞味候、以上御床敷之折節、芳翰并三題之和歌贈給候、殊勝銘心肝晴胸霧不離手裏披見無他事候、然風雅御執心之所左和国之風俗候、自上古誰歟此道不被弄翫候哉、不経年月御増進奇特千万候、抑去大風其地者如何、当地者取分当門戸已下破損致再興弥今半途然間、自絶音背本意迄候、雖然非求心素候、何様自此方可申宣候際、抛禿筆候、恐ゝ謹言うしろめたく思ひしもよし、天津雁雲井もくくと、かたるはかりに、十月十一日/左近大夫頼忠(花押)/右衛門佐殿御報

  • 戦国遺文後北条氏編4570「正木頼忠書状」(千葉県立中央図書館所蔵三浦文書)

自己解釈

まず最初に、雁をいただきましたこと。ご親切なお気持ちの至りと、賞味しました。

心惹かれることと思っていた時に、お手紙と和歌三首をいただきました。素晴らしいことで心に染み入り、胸の霧が晴れたようです。片時も手放すことはありません。こんなことは他ではありません。風雅へのこだわりの所作は、日本の風習といえます。上古より、この道を楽しまない者などいたでしょうか。年月を経ずに上達されたのは珍しいことこの上ありません。そうして先日の強風、そちらはどうでしたか。こちらの地では自宅を始めとして損壊してしまい、今は復興の途上です。それで、不本意ながらこちらからご連絡できませんでした。とはいえ、本心からではありません。どうにかこちらからご連絡しようと、拙い文をなげうちました。【和歌部分略】

  • 御床敷之折節
    • 心惹かれることと思っていた時に:ChatGPT/ Claude / Genspark/ 自己解釈
    • 病床:Muse / Grok
    • ​床几(椅子):Gemini
    • 屋敷:Perplexity
    • 御床しい:Deepseek
    • 屋敷か病床:Qwen

※Geminiの誤読が著しい。病床も屋敷も他例がなく、どこから持ってきたのか不明。

  • 然風雅御執心之所左和国之風俗候
    • 風雅へのこだわりの所作は、日本の風習といえます:自己解釈まさに我が国:ChatGPT
    • 左和国(本朝・日本):Grok / Muse
    • 左(左近大夫=私)の国、すなわち当地:Perplexity
    • 左(関東の)国:Deepseek
    • 左(さも)和国:Qwen / Genspark / Claude / Gemini

※「所左」は「所作」の当て字と解釈し「和国」とは分ける方が文脈に添う。「所作」は同時代史料で1例ある(戦国遺文後北条氏編4559「箱根別当融山書状写」)。全てのAIが当て字の判断をできなかった。

  • 右衛門佐の比定
    • 北条氏光:ChatGPT/ Claude / Genspark / Perplexity / 自己解釈
    • 後北条氏の一門か関係者:Gemini / Grok / Qwen
    • 正木頼忠の妻の兄弟(千葉県立中央図書館の解説):Deepseek
    • 比定せず: Muse

※Geminiは北条氏照の官途を「相模守」と誤記(正しくは陸奥守。相模守は本家当主のみ)。

総評

ChatGPT/ Claude / Gensparkが「床敷」と右衛門佐比定の両方で合っていた。但し「所作」の当て字は不正解で、特にChatGPTの誤読が酷かった。「左」で「まさに」と解するのは飛躍がある。この時代に多い当て字を解釈できないのは、まだまだといったところと言える。